ご相談
1972年に積水の初期型として建築された鉄骨アパートも築49年を迎え、家賃は地域の最低水準となっていました。管理会社からはさらに家賃を下げるか大規模リフォームでしか空室を埋める方法が無いと言われ、7室中3室が空室になっていました。古い物件への提案力のある管理会社へ変更したいとのご希望からアンドホームズをご紹介いただき、ご相談をお受けしました。
企画
物件の所在地である中央区谷は、その名の通り若干の坂は気になるものの地下鉄桜坂駅徒歩4分の利便性。大通り沿いの大型書店や路地裏の隠れ家的カフェなど再開発で賑わう六本松にも程近くポテンシャルは感じられる立地でした。
初回面談時にふと気になったのは、お部屋の窓から広がる森の木々。良い借景ですねとオーナーに尋ねると、なんと森も敷地内とのこと。たった一言の会話から方向性が決まっていった瞬間。この森を中心に、アウトドア好きの方に向けた物件づくりをしていくことになりました。
予算はなるべくかけずに現状を活かしつつ、雰囲気を出すことが最優先の課題となります。古いものを活かしながら住みやすい空間へ改装するアンドホームズオリジナルのbrocanteリノベーションを実施。
外部は、森へ入る導線の確保、ウッドを使った目隠しフェンスの設置や、同じくウッドを使ったサインの作り直しからはじまり、共用部のブラッシュアップを行いました。サインも新しく作るだけでなく、オーナーの想い入れのある既存のサインを活かしつつ、ターゲットの目に留まるロゴを使ったものを設置しました。シンボルツリーのくすの樹がそびえる森自体は、ワイルドでプライベートな雰囲気をそのまま楽しめるよう、入居者専用の共用部としました。アウトドア好きな方はDIYに興味を持っている方も多いので、室内は出来る限りシンプルな仕上げでDIY可とし、オーナーの了承を得た改装については退去時の原状回復も不要としました。
森の利用方法を試すため、テントを張り森でソロキャンプを行うなど、実験的な試みも行っています。

brocante リノベーションについて
【brocante】ブロカントはフランス語で「古道具」などを意味する言葉。美しいガラクタ、という言葉が語源になっています。
ヨーロッパではものを愛し、長く大切に使うことが文化として根付いていますが、100年以上経ち美術的な価値があるとされる「アンティーク」とは違い、もっと身近で、触れて使いたくなるような古いもの、それがブロカントです。
建物も築年数が古くなれば、一般的に市場価値は下がります。ただ、長く大切にされるものには理由があり、ものを大切にすることは暮らしを大切にすること。
単に全てを新品に入れ替えるのではなく、長く使われることで温かみを帯びたものを引き継ぎながら、現代の暮らしに合わせたアンドホームズオリジナルのリノベーション、それがbrocanteシリーズです。
リーシング
アウトドア好きな方をターゲットにするとはいえ、場所は中央区の住宅街。あくまでも静かに自宅を楽しむという観点から、「アウトドアのエッセンスを日常に取り込んだ、くすの樹の森付きアパートメント」というライトなコンセプトとしました。
朝は木々に囲まれ、ゆっくりとコーヒーを淹れて。
木漏れ日の気持ちいい午後には読書を。
友人を招いて、自然のリビングで会話も弾み、
夕暮れに合わせて、そのまま友人と街へ。
まずは1室を、ディスプレイなどでモデルルーム化し募集を開始。全国的に見ても珍しい、共用部の森でキャンプができるアパートとしてかなり特徴的な物件となったため、一般的なポータルサイト以外にも、面白い物件のみを扱うサイト「福岡R不動産」さんにもご掲載いただき、募集当初から数多くのお問合せをいただくことに成功、モデルルーム化したお部屋にすぐお申込みが入る結果となりました。他空室も順次埋まっています。
また、1室をDIYリノベーションの実験の場としてアンドホームズで借りることにより、新規募集時のDIYの参考にもしていただいています。